一列目の漢字だけで書いた中国の文章が漢文です。
二列目の緑色の字で書いた文章は、語の順序を入れ替え、送り仮名をつけて日本文にしたもので、書き下し文と言います。
楚人有鬻楯與矛者
楚人(そひと)に楯(たて)と矛(ほこ)とを鬻(ひさ)ぐ者有り。
楚の国の人で楯と矛を売っている者がいた。
楚(そ):春秋戦国時代(紀元前200年ごろまで)、中国にあった国。
譽之曰、吾楯之堅、莫能陷也
これを誉(ほ)めて曰(いは)く「わが楯の堅(かた)きこと、よくとほすものなし」と。
これを誉めていうことには、「わたしの楯は堅くて突き通すことができるものなどない。」
之(これ)
莫(な)し能(よ)く~:~できるものはない(~できる能力をもつものは無い)
陷(=陥、とほ)す:くぼむ、せめおとされる
也(なり):断定をあらわす、読まなくてもよい
又譽其矛曰、吾矛之利、於物無不陷也
また、その矛(ほこ)を誉めて曰く「わが矛の利(と)きこと、物においてとほさざるなし」と。
また、その矛を誉めて言うには、「わたしの矛は鋭いので突き通さないものなどない。」
於(お)いて
不(ざ)る~:~しない(否定)
或曰、以子之矛、陷子之楯何如
ある人曰く「子(し)の矛をもって、子の楯をとほさばいかん」と。
ある人が聞きました。「あなたの矛で、あなたの楯を突いたらどうなりますか。」
何如(いかん):どんな状態になりますか
如何(いかん):どうしようか
其人弗能應也
その人こたふることあたはざるなり。
その人は応(こた)えることができなかった。
應(=応 こた)ふる:答える
能(あた)ふ:~できる(可能)
弗(ざ)る:~しない(否定)
落ち、わかりましたぁ